RPAで経理の仕事を変える!自動化できる業務と5つの効果

「経理の業務負担を減らしたい、実際RPAでどこまで自動化できるんだろうか…」
このような疑問をお持ちではないでしょうか。

経理業務の多くはデータのチェックや入力といった、定型業務が大半を占めているので決められたルールに沿って業務を行うことを得意とするRPAによって経理業務の大半を自動化することができます。

実際にアメリカでは2013年から経理部門でRPAを導入する企業が増えており、RPAを導入して96%の仕訳入力を自動化し、50%のフルタイム従業員の削減に成功した企業もあります。
近年では、日本でも経理業務にRPAを導入して、業務効率化を行う企業が急速に増えており、RPAをうまく活用することが今後の経営のスタンダートとなっていくでしょう。

ここでは、経理業務のうち、どの業務が自動化できるのか、自動化することによって、企業はどのような効果が得られるのかを、具体例をだして解説していきます。

 

経理の大半は自動化できる!

 

経理は定型作業が多く自動化しやすい

経理業務は現預金の入出金の管理から財務諸表の作成など、その仕事内容は多伎にわたりますが、基本的には決められたルールに沿って行うものが多いです。

日次業務としては毎日発生する現金出納や従業員の経費精算、それに伴う会計ソフトへの入力業務などがあります。

月次業務としては、取引先への請求書作成から売掛金回収、取引先から受け取った請求書に対する買掛金支払、従業員への給与の支払、さらに日次業務と同じく会計ソフトへの入力業務があります。

年次業務としては、決算に伴う各勘定科目の仕訳入力、法人税や固定資産税などの各税金の支払い、税務申告書の作成、会計監査への対応や有価証券報告書などの資料作成などがあります。

上記にあげた例は経理が年間を通して行っている次のフローに含まれるものです。

現在では、このフローをパソコン上のエクセルや会計ソフトへ、取引が発生する都度入力作業を行っている企業が多く、証憑の入力作業から報告資料の出力作業までが経理のルーティンワークとして日々の業務の負担を重くしているのが現状です。

 

経理で自動化できる主な5つの業務

RPAはプログラミングの知識なしで活用できることが特徴で、仕事のフローに沿って一つ一つの動作をRPAに覚え込ませることで、インターネットブラウザやエクセルから会計ソフトなどの複数のアプリ間にまたがる作業も行うことができます。

また、経理業務のほとんどが業務フローが決まっているので、RPAに覚え込ませる経理業務フローのテンプレートが用意されている場合もあります。

経理は決められた資料に基いて入力から金額の突合、資料の出力を行うことが主な仕事ということから、一連の作業を一つ一つ覚えこませることができるRPAにとっては天職といえるような分野なのです。

 

RPAで自動化できる業務は次のものがあります。

証憑(しょうひょう)の取込業務

証憑を手に入れた場合、人間がその内容を読み取って、会計ソフトやエクセルなどに入力していくことがルーティンワークとなっています。


しかし、現在では紙面から文字を読み取るOCR技術が急激に発達しており、請求書や領収書から必要な情報を読み取り、仕訳まで行ってくれるようになります。


現在では受け取った請求書の様式が様々であることからすべての証憑をデータとして取り込むことは難しいのが現状ですが、すでに90%の精度で読み取れるOCR製品もあるので、これから更に精度が増すことにより、RPAのアドオンとして使用されていくことが浸透していくでしょう。


そうなると、今後は証憑の取込を自動化することが常識となり、証憑をまとめて取り込むことで、RPAでスキャンデータの保存から仕訳、その後のフローまで自動的に行ってくれるようになります。

 

帳票発行業務

現在では、請求書・取引明細書・領収書の発行などは、人間が取引の内訳を把握し、その内訳ごとの単価から合計金額をだし、請求書には請求金額・日付・支払期限、明細書には取引の内容・単価等を入力していくという作業が行われています。


RPAを使用すれば請求データや入金データを入力するだけで請求書の発行から領収書の発行まで行ってくれます。

 

経費精算業務

経費精算は経理の人が各部署から経費精算申請書を受け取って、それに基いて精算から仕訳までを経理が行っている場合が多いです。


証憑となるものは、タクシーなどのレシートやクレジットカードの明細などその形態は様々なので管理するのにも手間がかかります。


RPAを使用する場合には各部署の人が支払いデータを入力し、証憑を経理に渡すのみで、仕訳までが自動的に行われるようになります。

 

データ突合業務

人間により入力されたデータと実際の証憑に記載されている金額はヒューマンエラーにより金額が一致していないことがあります。


例えば交通費精算でも、クレジットカードの明細と経費精算申請書との金額が違ってるなど様々なエラーが起こり得ます。
このように、突合の結果が一致しなかった場合にはその原因をつきとめるのに多くの時間がかかってしまうこともあります。


RPAを活用すれば、買掛金や売掛金の消込などの突合業務はRPAが自動的に照合し、不一致の原因となるものをはじきだしてくれます。


更に、データの信頼性の視点からいっても、例えば、Yahoo乗換案内など、インターネットで検索した交通費の金額と精算データを突合するなど、より信頼性のある金額との照合作業を行うことができます。

 

各報告書の作成

経理は税務申告書や決算短信、有価証券報告書などの外部報告書や内部資料を作成しなければなりません。


その場合には、企業のデータベースに入力された膨大な量のデータからそれぞれの資料の作成に必要なデータを抽出しなければならないので、その作業量も負担が大きいものといえます。


しかし、これらの報告書や資料は、データベースから決められた金額を抽出していく作業なので、RPAを活用すれば、データの抽出から報告書の作成、関係者への報告書の送信まで自動化できます。

 

自動化後に人間が行う業務

RPAはあらかじめ設定した作業しかできないことから、イレギュラーが発生した場合は人間による対応が必要です。

例えば、データ照合の結果、不一致が発生した場合などには発見はできますがそれ以降の対応はできません。

この不一致の結果が二重支払いを行ってしまったケースを例とすると、その支払を行った担当者に問い合わせ、先方と連絡をとって来月の支払い時に調整するなどの対応が必要となってきますが、このようなイレギュラーが発生した場合には人間にしか対応ができません。

また、費用のうち必要のないものをピックアップして改善の提案をしたり、資金繰りのための財務戦略を練ったりなどの提案も自動化後に人間が行っていく業務です。

 

 

RPAと他の業務効率化ツールとの違い

RPAは前述したとおり、データの抽出などの自動化を行うツールとして紹介させて頂きましたが、他の業務効率化ツールと混同されてしまう方も多いでしょう。

以下では他の業務効率化ツールとの違いをあげていきます。

 

EXECELのマクロとの違い 

RPAとエクセルの異なる点は、エクセルが人間が使用するアプリケーションの一つであるのに対し、RPAは人間に代わってアプリケーションを操作する労働者になることができる点です。

マクロはEXCEL上の一連の操作を記録して、実行を行う事により、記録された一連の操作がEXCEL上で自動的に起動する機能のことです。

例えば、ダウンロードしたクレジットカードの明細から必要な情報のみを抽出してエクセル表を入力する場合などはマクロ機能により自動化を行っている企業も多いかと思います。

このように経理では、エクセルを使って必要なデータを自動的に抽出する場合にマクロが使用されることが多いです。

これに対して、RPAは記録した一連の操作を自動的に行うという点においてはマクロと同じですが、エクセルだけでなく他のアプリケーションを操作することや、複数のアプリケーションを同時に操作こともできます。

前述した、クレジットカード明細から必要な情報を抽出する場合でもクレジットカードの明細をCSVでダウンロードするところから、エクセルのマクロを使ってデータを抽出し、紙面で印刷するところまで自動化できます。

 

AIとの違い

AIとRPAの異なる点はAIが自ら学習し、正しい答えを導き出すことを目的としたツールであるのに対し、RPAはあらかじめ決められた動作を行うことを目的したツールという点です。

経理でRPAを使用する場合には決められたフローに沿って動作しますが、イレギュラーが起きた場合には対応できません。

例えば、経費精算申請書とクレジットカード明細のデータの突合を行った結果、一致しないデータがあった場合にはそのデータをはじきだすことはできますが後は人間が処理するということになります。

しかし、今後RPAにAIが組み込まれればその後の処理までを自ら考え、一致していないデータを入力した人に問い合わせ、どのように処理すべきなのかを指示していくなど、様々な状況に対応できるようになっていくことでしょう。

 

ERPとの違い

ERPは「予算管理」「財務会計管理」「顧客管理」や、その他企業の経営に必要なシステムを一つの統一されたものとしてまとめて管理できるシステムのことです。

どちらも業務効率化のためのツールですが、ERPは情報を整理し、一つのシステムで活用することにより、管理しやすくすることによる効率化ですが、RPAは人間が行う操作を自動的に行わせる業務自動化による効率化という違いがあります。

経理の場合、仕訳データから、他部署が経費精算のために入力した情報や、買掛金残高、得意先の顧客情報まで一つのシステムで見ることができるので管理がしやすくなります。

データを抽出する場合にも各情報が整理されているので必要なデータを抽出しやすいというメリットがあります。

しかし、抽出できるデータはERPに備えられた機能の中で行うため、ERPで抽出できるデータから、さらに細かく抽出したいといった場合には、その都度、エクセルに出力して必要なデータを抽出している企業も多いでしょう。

RPAを活用すると、ERPに備わった様式の表をエクセルに出力し、必要なデータを抽出するといった動作を覚え込ませたり、例えば、複数のERP同士の連携をエクセルを使ってデータの取込・抽出を行っている場合には、その一連の操作をRPAにより自動化することができます。

 

経理自動化のメリットに得られる5つの効果

経理業務の大半がRPAによって自動化できることは前述させて頂きましたが、RPAを導入することによるメリットは大きく分けて次の3つが挙げられます。
・人間が経理業務に充てる時間を減らせること
・業務時間の速度向上
・業務の正確性の向上


上記のメリットによって企業は具体的に次の効果を得ることができます。

 

人件費の削減分を他の必要な投資へ


経理業務に充てる時間を減らせば、RPA導入費用の代わりに、残業代などの人件費を削減することができます。

RPA導入費用は企業の規模にもよるので一概にはいえませんが、例えば世界各国に拠点を有するコカ・コーラ社では、経理部門において年間60万ドル(およそ6,600万円)の削減に成功しています。

経理という業務の多くが決算短信や税務申告など、企業の手続上必要な報告を行うためのもので、売上に貢献したり企業内のコンプライアンスを高めるといった効果があるわけではありません。

なので、経理のバックオフィス業務にかかる費用の削減分はそのまま他の経営のための投資や資金繰りに充てることができます。

 

より付加価値の高い業務への人材投入

経理業務を行っている方はルーティンワークにかける時間が多くて、企業にとって付加価値の高い業務を行うことがままならない方も多いことでしょう。

経理業務に充てる時間が減るということは、その分をより付加価値の高い業務へ投入できます。

経理の人間は重いルーティンワークから開放され、RPAでは行うことが難しいマネジメントや分析、戦略提案といった、より付加価値の高い業務へ人材を投入することができます。

 

労働環境の改善

月末、特に決算月ともなれば、経理の職員の方は夜遅くまで残業している方も多いことでしょう。

しかし、ルーティンワークをRPAに処理してもらえば、繁忙期においても、経理業務に充てる時間が減り、残業する時間が減るので労働基準法への対応などコンプライアンス問題も解決できます。

 

より正確でリアルタイムな情報による経営戦略策定

RPAはデータの入力や出力といった単純作業においては、圧倒的に人間より正確に、早く作業を行います。

経理の場合はデータのチェックや、入力、出力といった作業が多い傾向にあるので、その作業量が多ければ多いほど人間より早く処理を完了することができます。

経理においては、月末を締めとしてデータを収集し、とりまとめている企業が多いかと思いますが、業務の正確性と速度が向上するということは、経営戦略のために必要である情報をリアルタイムで抽出できるので、より正確で新鮮な情報に基いて、経営戦略を策定できます。

 

業務の正確性の向上によるリスク緩和

経理業務は金銭を取り扱うという性質上、ミスが許されない仕事でもあります。

また、企業の規模が大きくなればなるほど、取り扱う金額が大きくなり、一つの小さなミスも重大な問題に発展してしまうケースもあります。

人間の場合、集中力によって業務の正確性が落ちてしまい、たとえ集中している場合でも完全にヒューマンエラーを避けることは難しいものです。

RPAは正確に仕事をこなしていくので、ヒューマンエラーから生じる事故を未然に防ぐことができます。

 

RPA導入までに検討すべきこと

RPAの導入を検討している方には、導入したいとは思っているものの、本当に自社に必要なものなのか、実際に導入した場合には自社でどのような事を行っていくのかイメージが沸かない方も多いことでしょう。

ここではRPAの導入のフローごとに検討すべきことや、行うことを解説します。


企業は大きく分けて、次のフローに沿って導入を行い、そのステップごとに検討する事項や行うことが異なってきます。
・導入前
・導入の初期段階
・運用の拡大

 

導入前に検討すべき事項

①自社の業務を洗い出して業務効率化の効果が高いと期待される業務をピックアップする。
②ピックアップした業務の工数を把握し、導入後にはどのくらいの業務量が削減できるのかを見積もる。
③自社の業務効率化の計画に、より適しているRPAツールを選ぶ。

導入前には上記のフローに沿って検討を行っていきます。

また、導入前の段階では、導入計画が停滞しないように、どの部署が主導でRPAの導入を進めていくのか決めておくとよいでしょう。

 

導入の初期段階に検討すべきこと

①導入前の段階で選定した効果が高いと期待される業務のうち、まず初めにRPAを活用する業務を選ぶ。
②選んだ業務にRPAを活用してみて、検証・改善を定期的に繰り返し、効率的なRPA作業フローを決める。

また、RPAを作ってはみたものの、忘れ去られ、勝手に動作している野良ロボットが発生することもあるので、あらかじめ運用するためのルールを作っておくとよいでしょう。

さらにRPAに問題が生じた場合に誰も対処できなくなってしまう危険性があるので、RPAがブラックボックス化しないように、この段階で経理業務とRPAに理解が深い人材を育てていくことも必要です。

 

運用の拡大時に検討すべきこと

初めの導入が成功し導入のノウハウを得られたら、次は運用していく範囲を拡大していくステップです。

運用を拡大していくにあたっては、次の二軸で進めていくとよいでしょう。
・初めに導入した業務と同じ部署の業務RPAを活用する
・初めに導入した業務と類似する別の部署の業務RPAを活用する

上記の二軸でRPAの運用を拡大していき、業務効率化を最大限に行っていきましょう!

 

今後のRPA導入事情の展望

今後のRPAを導入事情については以下の2点がポイントとなるでしょう。
・業務自動化が必須となっていく
・経理業務における人間の役割が変わっていく

 

業務自動化の必要性

日本は少子化により今後の人材の確保が難しくなっていくことや、人件費が高騰していくことが予想されており、RPAの導入が上記の問題を解決する鍵となります。

今後は経理業務の中でも業務自動化できる範囲についてはRPAを導入することにより、人間の負担を軽くし、コストも抑えるといった企業が増えていくでしょう。

アイ・ティ・アール(ITR)によると、2016年度のRPAの売上金額は8億円を示しており、2017年度は前年度比2.5倍増、2018年度には44億円、2021年度には82億円と、継続的な伸びが見込まれると予測しています。

逆にいえば、人材不足、人件費の高騰といった問題にうまく対処できない企業は大きなハンデを背負ってしまうことになるでしょう。

 

経理における人間の役割

今後RPAが普及していき、経理業務が自動化されることにより、RPAが行う役割、人間が行う役割がはっきりとしていくでしょう。

RPAは定型業務を行い、定型業務を行う人間は減り、今後の経営戦略のために必要な情報を分析するなど、より付加価値が高い業務を行っていく人間が増えるでしょう。

しかし、イレギュラーな業務の対処などRPAが処理できないことを人間が行うというだけでは、RPAのトラブルが発生した場合には対処できる人間がおらず、RPAの業務がブラックボックス化してしまう場合もあるかと思います。

さらに、今後AIの技術が発展して、RPAにAIが組み込まれ、より複雑な業務を行えるようになった場合を考えると、RPAが行っている経理業務の内容やフローについて、より理解している者がいなければ問題が起きたときの対処が難しくなっていきます。

今後はRPAの導入により、経理の定型業務を行う人間の数は減少していくと予想されますが、導入後には経理業務とRPAについてより理解している人材を確保していくことが課題となっていくことでしょう。

 

今回のまとめ

①経理の大半が自動化できる
②経理の自動化により5つの効果が得られる
 ・人件費の削減分を他の必要な投資へ
 ・より付加価値の高い業務への人材投入
 ・労働環境の改善
 ・より正確でリアルタイムな情報による経営戦略策定
 ・業務の正確性の向上によるリスク緩和
③今後の人材不足・人件費の高騰といった問題への対処にはRPAが有効
④RPA導入後の課題は経理業務とRPAへの理解がある人材の確保が必要