【イベントレポート】今こそ始めよう、シンプルな決算と働き方改革|企業の意識の高さを感じたDFI2019

7月30、31日にかけて「今こそ始めよう、シンプルな決算と働き方改革」をテーマにしたDFI2019が開催されました。

昨年開催されたDFI2018のイベント後、「やった方が良いのは分かるがどうデジタル化すればいいのか、いざやろうとすると社内関係者との調整が難しい」というリクエストにお答えし、今年は「まず自分たちの部門内で小さく始める経理業務の働き方改革」をテーマに講演がなされました。

 

講演1:「プロセスオートメーションと内部統制の在り方」

PwCあらた有限責任監査法人
西原 立 氏 & 米山 喜章 氏

平成の30年間を振り返ってみて、自動化はどれほど進んだでしょうか?例えば自動車の製造工場は、自動化が著しく進化した分野と言えるでしょう。対するデータの製造工場である経理の分野ではどうでしょうか?データというデジタルそのものを扱う業務プロセス、かつテクノロジーは確実に進化した30年であったにも関わらず、自動化が進んだとは言えません。

「経理の業務プロセスの中には、自動化できる分野が多く残っているが、昨今注目を浴び始めた『プロセスマイニング』を利用して検証する方法も効果的」と西原氏。

単に業務マニュアルや口頭での確認、担当者の主観に左右されがちなヒアリングによって収集した情報ではなく、あくまでもシステム内にログとして記録されている現状プロセスを掘り起こすことによって得たデータを参考にすることでプロセスの可視化を可能にし、どの部分を自動化することが効率的なのかが、より明確に把握できるといいます。

すでに多くの企業が自動化に着手しているものの、効果を実感している企業は多くありません。その原因の一つとして挙げられるのが、SOX法や外部監査人対応への苦手意識から自動化が制限されていることです。

しかし、「過度な内部統制はせっかくの自動化を阻害する要因となり得るため、利用形態に応じた内部統制が求められる」と米山氏は解説されていました。

自動化すべきレベルの判定とリスクの程度に応じて内部統制とのバランスを保っていくことが重要であること、そしてテクノロジーが今までにないほど進化している今、安心してデジタル化の目標・目的を達成していくための仕組みである『デジタルガバナンス』の確立もこれから必要になると話されていました。

 

 

講演2:経理財務部門の改革にBPOが貢献できること

トランスコスモス株式会社
サービス推進総括 コンサルティング第一統括
エグゼクティブマネージャー
島田 裕士 氏

昨今、経理財務部は、CEOのビジネスパートナーという役割も担う存在として期待されています。しかしながら日本国内の人手不足、併せて経理部門の人材減少は著しく、対応業務の増加に合わせた人員補充が難しいことは皆さん周知の事実でしょう。この状況を打破するため、業務特化型SaaSの台頭しています。この「増大する業務」と「減少する人手」といった課題を解決するための体制やツールが整ったことから、「今が改革の時」と島田氏。

島田氏は、まず業務の棚卸によって「コア業務」と「ノンコア業務」を区分し、経理財務部が果たすべき本来の役割は何かを見極めることが初めの一歩と言います。

現在も今後も企業にとって重要なコア業務に多くの時間を割く必要がありますが、実務の中心を担う中間層が目先の業務に追われ、手が回っていないのが実情です。この中間層の負担軽減を中心に考え、イメージしている将来像から逆算し、今何をすべきかを検討することで、おのずと改革の方向性が見えてくると仰っていました。

社員の方々には「コア業務=付加価値の高い業務」に集中してもらうというのがBPOの大きな役割ですが、トランスコスモス社の特色は「人とデジタルを組み合わせて支援することにある」とのことでした。

トランスコスモス社は、経理財務業務において幅広くサービスを提供されており、そのための最適なデリバリー体制も保有されています。また、Adraのような業務特化型SaaSデジタルツールとBPOをワンパッケージで提供することによって業務の負担軽減も実現可能という外部化のメリットを紹介していただきました。

 

講演3: 決算プロセスの自動化は小さく始める

Trintech Inc. Ben Cornforth 氏
フィンセサイズ株式会社 大山 祐之

米国トリンテック社からBen Cornforth氏がトリンテック社の概要とシンプルな決算プロセスへの道のりを紹介しました。

一般に「決算」というと、ERPやその他社内システムから抽出した数字を照合、検証したうえで決算報告書が作成されるという単純明快なプロセスだと思われがちです。しかし、現実は各所で対応が必要とされ時間を要するため、想像以上に複雑になります。数字の正確さなど後回しで、なんとか帳尻を合わせて提出すれば良しとされがちなリスクがあるものです。

トリンテック社が行った調査では、決算で使用するスプレッドシートの88%には致命的なエラーを含んでいる可能性があり、回答者の70%は手入力に不安を感じていると回答しています。

では、リスクを減らし、効率を上げ、業務を簡素化するにはどうすれば良いのでしょうか?

  1. 属人化、つまり人に依存していたプロセスをシステム統制型に移行する
  2. プロセスの標準化によって共通の理解を持つ
  3. プロセスの最適化でプロセスの問題点を洗い出し、改善していく
  4. プロセスの自動化で業務品質の担保と時間短縮

言うまでもなく、精査されていない決算業務を単に自動化したとしても思い描いていたような結果は得られないのです。「小さくステップを踏んでいく」というのがキーとなる講演でした。

 

講演4:Adra製品のご紹介・デモ

フィンセサイズ株式会社 川野 浩範

最後のセッションでは、トリンテック社が提供するFCPMツールの一つであるAdraの紹介とデモが行われました。

Adraは、Task Manager、Balancer、Matcherという3つのモジュールで構成されています。それぞれ仮想の企業を用いてどのように運用できるのか、実際の製品を用いながら説明されました。大きく身を乗り出しながらデモをご覧になる方も大勢いらっしゃいました。

実際、イベント後のアンケートでは、「消込作業の簡素化」、「監査証憑類作成の簡素化」、「勘定照合」、「決算スケジュールやチェックリストの一元管理とワークフロー化」すべて高度化したい分野であるという結果からも、参加者の関心の高さが伺えました。

 

Task Manager (タスクマネージャー)

決算業務にまつわるタスクの一元管理と、決算業務のワークフローの自動化を支援するツールで、決算業務に関わる各担当者、またチーム全体の作業の進捗管理を行うことができます。

 

Balancer (バランサー)

勘定残高の検証と照合結果を裏付けるサポート資料の一元管理をするツールです。勘定科目残高の内訳を表示し、その残高が適正なものかどうかをコメントや証憑の添付機能を使ってレポートするものです。

このツールを使うことで、照合結果の可視化、ドキュメントの共有、監査ログを残すことによる監査対応も可能にします。

 

Matcher (マッチャー)

経理業務の中でも、「作業負荷が高く、付加価値の低い業務」とされる会計データや数字の集計作業にまつわる明細突合を、マッチングエンジンによって瞬時に処理するツールです。

 

参加者の声と見えてきた課題の共通項

講演の中で行われたアンケートで、業務自動化・働き方改革に既に取り組んでいると答えた参加者は3割程度にとどまり、その効果を実感していると答えた方は1名のみという、実際に効果を実感するまでには至っていないというのが現状でした。

また、参加後のアンケート結果では、55%の方々が「今年中、遅くとも来年には具体的なツールを導入して働き方改革を始めたい」、63%の方々が「業務が個人に依存しており、マニュアルや手順書の整備が不十分」と回答されています。

 

~参加者の声~

  • システム導入となると大掛かりなものをイメージしていましたが、自分の部署からまず試してみるということができるのが面白いと感じました。
  • 『決算業務の負荷軽減』及び『標準化』が課題であり、今回のセミナーを通じてその進め方が非常に参考になりました。
  • 標準化、適切化を行わない状況での自動化は、逆効果になり得るという点は、我々の置かれている状況を端的に表現していると感じました。

 

解決策はあるのか?

今後ますます複雑になっていく経理業務と人材不足が懸念されている日本において、無駄なくスマートに働き方改革を成功させる方法はあるのでしょうか?

  1. ワークフローの標準化:将来像の設定と業務整理
  2. スモールスタートを意識する:「小さく始める」
  3. デジタルトランスフォーメーションの実現:「ヒト依存」の撤廃

決算プロセスのデジタル化をサポートするAdra Suiteは、この3つの解決策を網羅しています。
大掛かりなシステム導入とは異なり、チーム内でまず検証できるような手軽さが魅力となっています。
アジャイル手法を用いて短期間で設定変更が可能となるため、使いながらより現場に適した設定に変えていくことが簡単です。
働き方改革への第一歩を踏み出す足掛かりになるかもしれません。

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