経理をアウトソーシングする前に抑えるべき10のメリット・デメリット

経理のアウトソーシングをして人手不足を解消したい、より生産的な仕事に時間を割きたいとお考えではないでしょうか。

実際、経理業務はほぼ全てアウトソーシングすることが可能です。

そして経理の業務は代行会社に任せるのはもちろん、代行会社から出向社員として自社内で作業してもらうことも可能です。

ここでは、経理を外注化する際のメリット・デメリットや、失敗しないための視点、そもそも自社は本当に外注化すべきなのか、までお伝えします。

 

アウトソーシングできる経理業務の具体例

経理担当が行う業務は全て外注化することが可能です。
具体的には取引時に発生する入出金の仕訳処理や、社員が立て替えた経費(領収書)の精算、毎月の経営・財務状況のレポートや毎年の税務申告まで委託することができます。

 

アウトソーシングできる経理業務の例

毎日 月次 年次

記帳・仕訳入力
領収書管理
請求書発行
売掛金・買掛金管理
各種支払処理
銀行残高管理

給与計算
月次レポート作成

税務申告
年末調整

 

経理のアウトソーシングの形態

アウトソーシングには3つの業務形態があります。メリットやデメリットについては次章で説明いたしますので、自社に合った形態を検討しましょう。

1 全ての経理業務を完全に外注する
2 一部の経理業務を外注する
3 外注後、自社に出向して作業をしてもらう

 

委託先

経理のアウトソーシングを専門としている会社に委託します。経理スタッフが何十人〜何百人在籍し、多くの企業の経理業務を代行します。

 

契約期間

単発のスポット業務や数ヶ月のプラン、年単位の契約プランがあります。

 

費用

仕訳科目数や、日次業務・月次業務・年次業務をどこまで任せるかによって決まります。また、個人事業主か法人か、訪問の有無などによっても料金が変わってきます。

下記には安い例を出しましたが、代行会社や自社の状況によっても大きく変わるので、一度相談してみましょう。

 

記帳代行 100仕訳まで 10,000円/月
給与計算代行 1社員あたり1,000円/月
決算書作成代行 50,000円/回

経理代行

月10,000円前後から業務量に応じて追加料金発生

 

経理をアウトソーシングする6つのメリット

 

①コストを削減できる

経理担当者分の人件費はもちろん、教育コスト、採用コストなど、間接的な人件費も削減することができます。

一般的に一人の社員に対して、給与以外の経費や商品の原材料費、社会保険料なども加味すると毎月の給与の3倍のコストがかかります。

仮に給与が25万円、年収300万円の社員に対しては900万円のコストがかかることになります。
外注した費用がそれ以下になるのであれば、明らかにメリットと取れるでしょう。

また、大企業であれば単に既存の委託会社を頼るのではなく、経理部門を子会社化することで組織のスリム化によるコストダウンも図れます。

 

②生産性の高い業務に集中できる

経理業務を完全に外注化することで利益に直結する、より生産性の高い業務にリソースを集中させることができます。

一般的に経理担当の毎日の業務は、数値が間違っていないかのチェックにかける時間が多いのが実情です。このような作業は極力減らし、財務戦略を練るなど未来を描く生産性の高い業務にシフトさせたいところです。

 

③経理業務の繁忙期・閑散期のリソース配分を気にしなくてよくなる

経理業務は月末・月初や期末の繁忙期、月半ばの閑散期など、時期によって忙しさが違います。
管理者としては、繁忙期は残業時間を気にしなければいけませんし、閑散期はリソースの余剰を有効活用したいところです。

外注化することで、このようなリソース配分を気にすることなく、本業に集中することがでるようになります。

 

④経理担当の退職によって業務が滞るリスクがなくなる

社員の退職は会社にとって大きな損失となります。
それまで社員にかけてきたコストもそうですが、引継ぎが完璧にされず、業務が滞ってしまうリスクもあります。

代行会社は経理担当者を何十人も抱え、業務プロセスも共有していることが多いため、業務が滞るリスクはありません。

 

⑤社員の不正を防ぐことができる

社内や会社間の内情に精通していると抜け道を見つけやすく、預金への着服や数値をごまかすなどの不正が発生する可能性もあります。

代行会社では数値のチェックのフローも整っており、また、ビジネスとしての付き合いになるため、契約に沿った正しい処理が期待できます。

 

⑥会計規則や税法の改正にも対応してくれる

会計規則や税法は毎年変わります。社内の経理担当がそれを把握していれば安心ですが、そこまで情報に敏感でない人も多くいることでしょう。
法律関係については特に、社員の自主性に任せるよりもプロに任せる方が安心です。

 

経理をアウトソーシングする4つのデメリット

 

①社内に経理のノウハウが溜まらず、いざというときに対応できない

経理部門をまるごと外注化していると、当たり前ですが社内には経理のノウハウが蓄積されません。
契約が切れるときに処理のプロセスを共有してくれる委託会社もありますが、それで経理業務が問題なく回せるようになるわけではありませんし、契約期間終了後は頼ることもできません。

実際にあった話ですが、ある会社は事務代行の会社に経理を全て任せていましたが、社長同士が揉めていきなり契約終了となった例もあります

1ヶ月の猶予があり、その間に新しい事務代行会社を探して引き継ぎを進めてもらうと同時に、社内の人間も専門外の人が経理担当として一緒に引き継ぎをする羽目になりました。

短期間で十分な引き継ぎができるはずがなく、社内の担当者は不安でいっぱいだったとのことです。

上記の例は稀かもしれませんが、事務代行会社が倒産する可能性などもゼロではないため、いざというときに次の委託先や社内の担当は誰にするかを予め決めてリスクヘッジしましょう。

 

②レスポンスにタイムラグが生じる

経理業務を委託した際は、自社に出向してもらわない限り、ちょっとした連絡や書類のやりとりにどうしてもタイムラグが発生します。「これ経費として落とせるの?」とちょっとした相談にも時間がかかってしまいます。

 

③新規事業を開始するたびに費用の見直しが必要

事業の拡大、上場、海外展開、M&Aなど組織体制が大きく変わると経理業務の幅も広がります。
取引方法の変化や海外進出した場合には、仕訳する勘定科目が増えたり、給与計算の対象となる社員が増えたりすることで、代行会社からは追加料金を請求されることになります。新規事業時は代行会社とも密に連絡をとりましょう。

 

④代行会社を乗り換える際に通常の倍以上の費用がかかる

組織の拡大に代行会社がついていけない、代行会社が事業を縮小する、サービスの質が悪い、会社間が不仲になった…など、代行会社の変更が必要になった際、引き継ぎ業務が発生します。

引き継ぎ期間は既存の代行会社と新規の代行会社の2社への支払が必要になるため、費用も倍以上になります。

代行会社が自社の組織拡大に対応できるかも予めヒアリングしておきましょう。

 

失敗しないアウトソーシング3つの視点

 

委託先のレベルは自社以上あるか

委託先の知見や処理能力が自社以下だとストレスにもなりますし、引き継ぎに時間がかかってしまい、外注したメリットも低減してしまいます。

特に自社への出向を利用する場合は、経験年数や資格を指定し、自社が求めるレベルを明確に示しましょう。

 

情報漏えい防止への取り組みは適切か

アウトソーシングは自社の機密情報を渡すことになります。経理業務をまるごと委託すると財務の状況が丸わかりになります。例えば投資を積極的に行っている傾向が競合他社に漏れてしまうと、早々に対策を打たれて投資効果が薄れてしまうことにもなりかねません。

情報漏えいやセキュリティに対してどのような体制を整えているのかも前もって聞いておくとよいでしょう。

 

経営方針の提案は参考程度に

月次のレポートや年次のレポートを作成してもらうと、財務戦略に関するアドバイスまで添えられてくる場合があります。

代行会社としては少しでも多くの業務を請負いたいため、課題を解決するための新たなサービスの提案をしてくるかもしれません。

会社の今後の戦略や経営方針を理解しているなら話は別ですが、よほど密な関係でない限り提案は参考程度に留めておきましょう。

 

結局委託するべき?自社で行うべき?

外注化した場合には採用コスト・社会保険料などが減り、コスト削減のメリットは得られやすいです。また、採用や教育にかける時間を本業に集中させることで生産性も高まります。ただ、やはり自社で正規雇用するメリットも無視はできません。

 

委託の比較表

 

経理専任者がいないなら外注検討、専任者がいるならまず効率化を検討する

外注化するというのは「コストを下げて生産性を高めるための手段の一つ」です。

自社採用と外注化のコストが同じなら、緊急な処理にも対応できて財務状況に精通した人材を育てられる自社採用が良いでしょう。
経理の自動化ツール(RPA)の活用も考慮し、まずは無駄な作業を排除して効率化できないかを検討するようにしましょう。

そもそも経理専任者がいなくて、そこにリソースを割く余裕がない場合は、まずはアウトソーシングを検討するのが良いでしょう。

 

まとめ

経理をアウトソーシングする6つのメリット

 

①コストを削減できる
②生産性の高い業務に集中できる
③経理業務の繁忙期・閑散期のリソース配分を気にしなくてよくなる
④経理担当の退職によって業務が滞るリスクがなくなる
⑤社員の不正を防ぐことができる
⑥会計規則や税法の改正にも対応してくれる

 

経理をアウトソーシングする4つのデメリット

 

①社内に経理のノウハウが溜まらず、いざというときに対応できない
②レスポンスにタイムラグが生じる
③新規事業を開始するたびに費用の見直しが必要
④代行会社を乗り換える際に通常の倍以上の費用がかかる

 

失敗しないアウトソーシング3つの視点

 

①委託先のレベルは自社以上あるか
②情報漏えい防止への取り組みは適切か
③経営方針の提案は参考程度に

 

経理専任者がいないなら外注検討、専任者がいるならまず効率化を検討する