経理の業務を自動化するメリットとデメリットをチェック!

  • 「経理の業務が忙しすぎる!現状をなんとか改善したい」
  • 「月次を締めた後できるだけ早く、正確な数字を経営陣へ提出したい」
  • 「最近、『RPAやAI導入で業務を自動化』という言葉をよく耳にするけど、実際どこまで自動化できるんだろう」

業務効率化、生産性向上、働き方改革が声高に叫ばれる中、このページを読んでくださっている方の中には、きっとこうした悩みや疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。このブログを書いている私自身、中小企業と大企業での経理部員としての経験を通してこうした悩みを痛いほど感じてきました。

しかし、ついこの間までは「あったらいいな」と思っていた夢のようなツールが、今や世の中のスタンダードになりつつあります。今回はそういったツールの

  • メリットとデメリット
  • 経理で自動化できる業務
  • 経理を自動化する方法
  • 経理業務を自動化する際の費用目安
  • 経理を自動化する際にチェックするポイント

について解説していきます。

1.経理を自動化するメリットとデメリット

ここではまず経理業務を自動化するメリットとデメリットを紹介していきたいと思います。

1-1.メリット

作業時間が短くなる

経理の業務内容は多岐に渡りますがおおむね定型業務が多く、それらを自動化することで大きく作業時間を短縮できます。最も顕著に改善される分野の一つは、月末月初に集中する膨大な量のデータ照合・突合作業でしょう。例えば、

  • 売掛金と銀行入金データを照合する「入金消込」作業
  • 買掛金と請求書データの照合とその後支払いデータと突合する「支払消込」作業
  • 得意先から送られてくる検収明細と社内データを突き合わせる「検収消込」作業

などがあります。

これらは限られた時間内で終わらせる必要があるためスピードと正確さが求められる非常に負荷のかかる作業ですが、作業自体に経理の専門知識は必要なく、ルール化された定型業務です。こうした分野はRPAがとりわけ得意とする分野です。

人間がより重要な仕事に取りかかれる

これまで時間とエネルギーを奪われていた作業を自動化することで、経理部員は、例えば予実管理や財務戦略を練ること、不必要な費用を洗い出して改善案を提出することなど、経理・財務としてより付加価値の高い重要な仕事のために時間を使うことができます。

月次後の正確な数字を早く出せるので、経営者が「資金があれば1ヶ月でも早くやってみたかった」と思うことなど迷うことなく実行できる、正確な判断材料を提出することも出来ます。

こうしたことは目まぐるしいスピードで前進する競争社会の中で、会社が生き残り成長していく上で今後ますます重要になってくるでしょう。

ミスが減る

限られた時間の中、手作業で膨大なデータを処理しなければならないとなれば、多くの場合、少なからずそこにミスも生じ得ます。人手で行なっていた作業を自動化することにより、人為的なミスを減らし、それに伴う修正作業などの無駄な時間も削減できます。

例えば、取引データから請求書を作成したり、また会計システムとは別に補助簿等に数字を転記して管理している会社も多いと思いますが、そうした転記の際に発生しがちなヒューマンエラーを自動化により避けることができます。これにより社内の不要な作業を軽減できるだけでなく、二重の請求や支払、未払い等、取引先との関係上で自社の信用に関わるミスを未然に防ぐことができます。

 

1-2.デメリット

自動化することで業務効率化ができメリットが多いことがわかりました。では一方でデメリットはなんでしょうか?以下の点があげられます。

  • 自動化に慣れるまでに手間がかかる
  • 完全な自動化は難しいため人間によるチェックが必要

それぞれ解説していきます。

自動化に慣れるまでに手間がかかる

会計処理の自動化を成功させるためには、まずは自動化ツールをよく知り、ツールに馴染み、使いこなしていく必要があります。

また最初は一気に自動化を計りたくなりますが、まずは一つずつ、現在手作業で行なっている業務フローを洗い出し(見える化)、自動化による改善効果が高いと思われる業務を標準ステップに落とし込み(標準化)、その後活用して検証・改善を繰り返していく必要があります。

完全な自動化は難しいため人間によるチェックが必要

RPAはあらかじめ設定した作業しかできないことから、イレギュラーが発生した場合は人間による対応が必要です。例えば、データ照合の結果、不一致が発生した場合などには発見はできますがそれ以降の対応はできません。

この不一致の結果が二重支払いであったケースを例とすると、その支払を行った担当者に問い合わせ、先方と連絡をとって来月の支払い時に調整するなどの対応が必要となってきますが、このような対応は現時点で人間にしかできません。

またAIの場合は、人工知能が判断しきれないものがあったり、判断自体が誤っている場合もあり、その場合は人間によるチェックと修正が必要になります。

 

2.経理で自動化できる業務

それでは経理で自動化できる業務はどのようなものがあるでしょう?例えば次のものがあります。

  • 証憑(しょうひょう)の取込業務
  • 帳票発行業務
  • 経費精算業務
  • データ突合業務
  • 各報告書の作成

それぞれ詳しく解説していきます。

証憑(しょうひょう)の取込

経理部員は領収書や請求書などを受け取ると、その内容を読み取って、会計ソフトやエクセルなどに入力していきます。

しかし、現在では紙面から文字を読み取るOCR技術が急激に発達しており、請求書や領収書から必要な情報を高い精度で読み取り、仕訳まで行ってくれるようになっています。

しかし請求書の様式は様々で、すべての証憑をデータとして取り込むことは難しいのが現状ですが、すでに96%の精度で読み取れるOCR製品もあるので、これから更に精度が増すことにより、RPAのアドオンとして使用されていくでしょう。

そうなると、今後は証憑の取込を自動化することが常識となり、スキャンデータの保存から仕訳、その後のフローまで自動的に行ってくれるようになります。

帳票発行

多くの会社では、請求書・取引明細書・領収書の発行などは、まず人が取引の内訳を取引データなどから把握し、合計金額をだし、請求書であれば請求金額・日付・支払期限、明細には取引の内容・数量・単価等を入力していくという作業が行われています。

自動化ツールを利用すれば、請求データや入金データを入力するだけで請求書の発行から領収書の発行まで行ってくれます。

経費精算

多くの場合、経理の人が各部署から経費精算申請書を受け取り、それに基づいて精算から仕訳まで行っているのが現状です。

証憑(エビデンス)には、飲食店やタクシーなどのレシート、クレジットカードの明細など形態は様々なので管理するのにも手間がかかります。

AIやRPAを使用する場合には各部署の人が支払いデータを入力し、証憑を経理に渡すのみで、仕訳までが自動的に行われるようになります。

データ突合

ヒューマンエラーにより実際の証憑(エビデンス)に記載されている金額金額と、人が入力した内容が一致していないことがあります。

例えば交通費精算で、クレジットカードの明細と経費精算申請書の金額に相違があるなど様々なエラーが起こり得ます。大量のデータが存在する中で該当する内容のものを探し出し、原因をつきとめるのに多くの時間がかかってしまうこともあります。

自動化ツールを活用すれば、データを自動的に突合し、不一致の原因となるものをはじきだしてくれます。

各報告書の作成

経理の重要な仕事として、税務申告書や決算短信、有価証券報告書などの外部報告書や内部資料の作成・提出があります。

その場合、企業のデータベースに入力された膨大な量のデータからそれぞれの資料の作成に必要なデータを抽出しなければならず、負担が大きい業務です。

しかしこれらの報告書や資料は、データベースから決められた金額を抽出していく作業なので、自動化ツールを活用することにより、データの抽出から報告書の作成、関係者への報告書の送信まで自動的に行うことができます。

 

3.経理業務を自動化する方法

それでは実際に経理を自動化する方法について紹介していきます。主に以下の3つの方法で自動化することになるでしょう。

  • エクセル
  • RPA
  • AI

それぞれ特徴や強みがあるので、自分たちにとって最適な方法を選ぶようにしましょう。

3-1.エクセル

エクセルにはマクロ(VBA)と呼ばれる機能が備わっています。マクロとは、プログラムの複数の命令を順番通りに実行するものです。 その機能を活用することにより、エクセル内の定型作業を自動で実施することができます。

例えば、エクセルの売上データから特定の取引先だけを抽出したり、ある期間を抽出してレポート化するなどです。

しかしマクロはExcel上でしか使えないため、例えば売上明細を出した後に請求書をPDFで発行しOutlookでメールを送るなど、複数のアプリケーションをまたいで自動化する場合には別のツールを活用する必要があります。

さらに、マクロのスキルを持つ人は意外に少なく、その人が辞めてしまうとエクセル(マクロ)の修正が難しくなるなどのデメリットもあります。

3-2.RPA

RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、定型化した仕事を自動化することや、自動化するためのソフトウェアのことを指します。人間があらかじめルールを定めると、その通りに働きます。プログラミングの知識なしに活用できるのが特徴で、実際の処理をレコーディングしてツールに覚えさせることができるので、専門知識がなくても簡単に自動化できます。

経理業務をRPAにより自動化させるには、前述の通り、まず業務フローを見える化し、それを標準化します。

データの照合作業をRPAを用いて処理した場合、トリンテックでは、データ照合にかかっていた時間の90%、仕訳入力にかかっていた時間の75%、外部監査の為にかかっていた準備時間の99%削減に成功しています。

3-3.AI

AIとは、アーティフィシャル・インテリジェンス(Artifiial Intelligence)の略で、「人工知能」として知られ、人間の頭脳のように「判断する」ことが得意分野です。ルールが決まっておらず自分で判断をする必要がある場合にはAIのテクノロジーを用います。

 

4.経理業務を自動化する際の費用目安

現在のところAIの導入には最低でも数百万円の費用がかかり、開発にもかなりの年月を要するので、結果的にコストが肥大化します。

それに対しRPAは数十万から導入でき、費用を抑えることができると同時に、導入にも時間がそれほどかかりません。

最近では一部にAIを導入したクラウド型会計ソフトも存在し、1ユーザー数千円/月から利用可能になっていますが、RPAが得意とする膨大な量のデータの照合作業などの機能は持ち合わせていないため、業務時間と手間の削減を求めるのであれば、RPAの導入がコスパの良い選択と言えるでしょう。

 

5.経理業務を自動化する際にチェックするポイント

最後に経理を自動化する際の確認事項を紹介していきます。

  • 自社の経理で自動化による効果が高いと考えられる業務を調べる
  • 導入後にはどのくらいの業務量が削減できるのかを見積もる

  • 自社に適した業務の自動化手法を選ぶ

これらを明確にしておくことで、自社にとって最適なツールや手法を把握することができます。これが経理の業務効率化の鍵となります。

5-1.自社の経理で自動化による効果が高いと考えられる業務を調べる

自社の経理業務を洗い出し、どのような業務が自動化に向いているのか、また業務効率化の効果が高いと期待される業務をピックアップします。

5-2.導入後にはどのくらいの業務量が削減できるのかを見積もる

まず現状でどの業務にどれほどの人員と時間がかかっているのかを割り出し、自動化ツール導入後にどれほどの業務量を削減できるのかを検証します。

5-3.自社に適した業務の自動化手法を選ぶ

上記のステップをもとに、エクセルで現状事足りるのか、RPAもしくはAIを導入するか、またはその組み合わせで使うか、自社に合った使い方を検討し選択します。

 

6.まとめ

改めて経理業務を自動化するメリットとデメリットを確認しましょう。

✔︎メリット

  • 作業時間が短くなる
  • 人間がより重要な仕事に取りかかれる
  • ミスが減る

✔︎デメリット

  • 自動化に慣れるまで手間がかかる
  • 完全な自動化は難しいため人間によるチェックが必要

しかし上記のデメリットもツールを使いこなせるようになるとメリットに変わります。そのためには、現在の課題はなにであるかを明確にし、自動化ツールを入れることでどれだけ会社に貢献するかをきちんと試算するようにしましょう。